おはよう、後輩A君。
月ごとの売上を折れ線グラフにしたら、ある月だけ、線が0までストンと落ちていたことはないかな。
表を見ると、その月のセルは空っぽなんだよね。何も入っていないように見えるんだ。なのに、グラフは0を描いているんだよ。
年間の表で、まだ来ていない月が全部0に張りついているグラフも、よく見かけるよね。
今日はこれを、実際にエクセルで測って確かめたよ。⚠️ 犯人は、空っぽに見えるけれど、本当は空っぽではないセルだったんだ。
1. 空いている月の入れ方を、4通り作ったんだよ
4月から12月までの売上の表で試したよ。
4月〜6月、8月、9月 → 数字が入っている
7月 → ⚠️ 入れ忘れ
10月〜12月 → まだ来ていない
この「入っていない月」を、4つのやり方で作ったんだ。
B列 空白のまま → 何も入れない
C列 0を入れた → 0と入力する
D列 数式で空白にした → =IF(F5=””,””,F5)
E列 #N/Aを入れた → =IF(F5=””,NA(),F5)
F列が、実際に数字を入力する欄だよ。D列とE列は、F列が空いていたら何かを返す数式なんだ。
D列の数式は、「F5が空なら、空(””)を表示してね。そうでなければF5の数字を出してね」という意味なんだよ。表をきれいに見せるために、とてもよく使われる書き方なんだ。
表にするとこう見えたよ。7月のD5を選んでいるところだね。

⚠️ D列の7月と10〜12月は、B列と同じように空っぽに見えるよね。ここが今日のポイントなんだ。
2. ⚠️ 「数式で空白」だけ、0に落ちたんだよ
4つの列を、それぞれ折れ線グラフにしたんだ。結果はこうだったよ。

空白のまま → 7月は線が切れる。10〜12月は何も描かない
0を入れた → 7月も10〜12月も0に落ちる
数式で空白にした → ⚠️ 0に落ちる(0を入れたのと同じ形)
#N/Aを入れた → 7月は線が切れる。10〜12月は何も描かない
⚠️ 表では空っぽに見えていたD列が、グラフでは0になったんだよ。
0を入れたC列が0に落ちるのは、当たり前だよね。本当に0なんだから。困るのはD列なんだ。見た目はB列と同じなのに、グラフはC列と同じになっているんだよ。
3. なぜ0になるのか。「””」は空っぽではないんだよ
数式の中の “” は、「文字が1つもない文字」なんだ。長さ0の文字、と言ったほうが近いかな。
⚠️ 画面には何も表示されないけれど、セルには「文字が入っている」んだよ。何も入っていないB列とは、そこが違うんだ。
折れ線グラフは、数字でないものを0として描いたんだよね。だから、””が返っている月は、全部0に落ちたんだ。
⇒ 「空っぽに見える」と「何も入っていない」は、エクセルにとっては別のことなんだよ。
4. ⚠️ グラフの設定を変えても、直らなかったんだよ
グラフには、「空いているセルをどう描くか」を決める設定があるんだ。
グラフを選んで、「グラフのデザイン」タブの「データの選択」を押すと、この画面が出るよ。

いちばん下の「非表示および空白のセル」のところだね。新しく作ったグラフは、4つとも最初からこうなっていたよ。
空白セルの表示方法 → 空白
#N/A を空のセルとして表示 → ✓(チェックあり)
「空白セルの表示方法」には、ほかに「線でつなぐ」と「0にする」の選び方があるんだ。2つとも切り替えて測ったよ。
まず「線でつなぐ」にしたら、こうなったんだ。

空白のまま → ⭐ 6月から8月へ、線がつながった
#N/Aを入れた → ⭐ 同じく、線がつながった
数式で空白にした → ⚠️ 0に落ちたまま
次に「0にする」にしたら、こうなったよ。

4つとも → ⚠️ 7月と10〜12月が0に落ちた
⚠️ つまり、数式で空白にしたD列は、どの設定にしても0に落ちたんだよ。
この設定は「本当に空いているセル」をどう描くかを決めるものなんだ。D列は空いていないから、設定の外にいるんだよね。
5. 直し方は、””の代わりにNA()を返すことだよ
E列の数式を、もう一度見てね。
D列(0に落ちた) =IF(F5=””,“”,F5)
E列(線が切れた) =IF(F5=””,NA(),F5)
違うのは、空いているときに返すものだけなんだ。NA()は、「#N/A」を返す関数だよ。
さっきの設定画面で「#N/A を空のセルとして表示」にチェックが入っていたよね。だから、#N/Aの月は空いている月と同じ扱いになって、線が切れたんだ。「線でつなぐ」にすれば、つなぐこともできたよ。
⇒ グラフのもとになる表で「空いている月」を数式で作るなら、“”ではなくNA()を返す。これで、空っぽの月が0に落ちなくなるんだ。
⚠️ ただし、表には「#N/A」と表示されるんだよ。見た目が気になるかもしれないね。#N/Aは本来「探したけれど見つからなかった」という意味の記号だから、エラーの記号の記事で書いたとおり、ふだんはびっくりする記号なんだ。今日は、それをわざと使うんだよ。
6. まだ来ていない月も、同じ理由なんだよ
10月〜12月の結果も、もう一度見てね。
空白のまま・#N/A → 10〜12月は何も描かない(9月で線が終わる)
0・数式で空白 → 10〜12月が0に張りつく
年間の予定と実績の表では、先の月まで数式を入れておくことが多いよね。そのとき””を返していると、グラフの右側がずっと0に張りつくんだ。
「売上が落ちた」ように見えてしまうんだよね。⚠️ 会議でそのグラフを見せると、まだ来ていない月を、売上0の月だと読まれてしまうかもしれないんだ。
NA()にしておけば、グラフは9月で止まるよ。「ここまでが実績」と、見ればすぐ分かるんだ。
7. ⚠️ 今日測れなかったこと
正直に書いておくね。
・測ったのはMac版のエクセルだよ。Windows版では測っていないんだ
・表の#N/Aを見えなくする方法は、今日は試していないんだ
・棒グラフでは試していないんだ。今日は折れ線グラフだけだよ
・「#N/A を空のセルとして表示」のチェックを外したときも、試していないんだ
8. エクセルの記事、これで20本目だよ
合計が0になる → 数字に見えて、文字だった
循環参照で0になる → 合計が自分自身を足していた
折れ線グラフが0に落ちる(今日)→ 空っぽに見えて、文字が入っていた
⚠️ 並べると、どれも「見た目と中身が違う」話なんだよね。
合計が0になる記事では、数字に見えるのに文字だったから、足してもらえなかったんだ。今日は逆に、空っぽに見えるのに文字だったから、0として描かれたんだよ。
エクセルは、画面の見た目ではなく、セルの中身で動いているんだ。
結論:空っぽに見えるセルが、本当に空っぽかを疑うんだよ
今日測った結果をまとめるとこうだよ。
① 空白のままの月は、線が切れる
② 0を入れた月は、0に落ちる
③ ⚠️ 数式で””を返した月も、0に落ちる。表では空っぽに見えるのに
④ ⚠️ 「空白セルの表示方法」を変えても、③は0に落ちたままだった
⑤ ⭐ NA()を返すと、空白のままと同じように線が切れる
⑥ ⭐ 「線でつなぐ」にすれば、#N/Aの月もつなげる
⑦ まだ来ていない月も同じ。””だと0に張りつき、NA()なら9月で止まる
グラフが0に落ちたとき、グラフの設定を探したくなるよね。でも今日測ったら、設定では直らなかったんだ。
直すところは、グラフのもとになっている表の数式だったんだよ。
グラフがおかしいときは、グラフではなく、表のセルの中身を1つ選んで見る。それだけで、0に落ちた理由が分かるんだよ。
よくある質問
Q1. “”をやめると、表に#N/Aが並んで見づらいです
⚠️ そうなんだよね。今日の表でも、E列には#N/Aが並んだよ。⇒ 表をそのまま人に見せるなら、グラフ用の列と、見せる用の列を分けるのも1つの手だと思うよ。見せる列は””のまま、グラフは#N/Aの列から作るんだ。
Q2. 本当に0の月もあるときは、どうなりますか
0と入力した月は、どの設定でも0として描かれたよ。本当に0なら、0に落ちるのが正しいグラフだね。⚠️ 困るのは「まだ分からない月」まで0に見えてしまうことなんだ。0と「まだない」を、表の中で分けておこうか。
Q3. 自分の表のセルが””かどうか、どうやって見分けますか
セルを1つ選んで、上の数式バーを見てね。何も表示されていなければ、本当に空っぽだよ。「=IF(……,””,……)」のような数式が出てきたら、それは空っぽに見えるだけのセルなんだ。今日の表でも、D5を選んだら数式が出てきたよ。
Q4. 「線でつなぐ」にしておけば、安心ですか
⚠️ 本当に空いているセルと#N/Aには効いたよ。でも“”の月は、つながらずに0に落ちたままだった。設定だけでは直らないから、まず表の数式を見てね。
【本日のミッション:グラフのもとの表を、1つだけ選んでみようか】
- ☐ 0に落ちている折れ線グラフがあったら、その月のもとのセルを1つ選んで、数式バーを見てみようか
- ☐ 「””」を返す数式だったら、⚠️ “” を NA() に変えてみようか
- ☐ 年間の表なら、まだ来ていない月が0に張りついていないか見てみようか
- ☐ (後輩A君へ)グラフがおかしいとき、グラフの設定より先に、もとの表を見てみようか。⚠️ エクセルは画面の見た目ではなく、セルの中身で描いているんだよ
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