おはよう、後輩A君。
先日、AIで音楽を作っている方から、こんな声をもらったんだよ。
自分は、歌詞にしっくりくるスタイルを探るのが難しいです
これ、痛いほど分かるんだよね。頭の中には「こんな感じの曲がほしい」というイメージがちゃんとあるのに、それをAIに伝える言葉が出てこない。結果、なんとなく「piano, relaxing」とだけ書いて、なんとなくの曲ができあがる。
私も最初はそうだったよ。今日はね、頭の中のイメージを、AIに通じる言葉へ変換する方法を書くよ。そのまま使える変換辞書も置いておくから、曲を作るときに開いて使ってほしいんだ。
1. 詰まるのは「語彙」じゃなくて「変換」なんだよ
まず、つまずきの正体をはっきりさせておくね。
私はずっと、自分は英語の音楽用語を知らないからうまく書けないんだと思っていたんだよ。だから用語集を眺めたりしていた。でも、それでは解決しなかったんだよね。
本当の問題はこれだったんだ。
「なんとなくの気分」を、そのまま言葉にしようとしていた。
たとえば「ほっとする感じの曲」がほしいとするよね。これをそのまま英語にすると「relaxing」になる。でもね、relaxingな曲なんて何万通りもあるんだよ。ピアノのrelaxingと、ギターのrelaxingと、波の音のrelaxingは、まったく別の曲だよね。
だからAIは困ってしまうんだ。「ほっとする、ね……で、何が鳴っていればいいの?」って。
つまり必要なのは英単語の知識じゃなくて、ぼんやりした気分を、具体的な要素にほどく作業なんだよ。この作業さえできれば、英語は中学レベルで足りるんだ。
2. イメージは「3つの層」にほどけるんだよ
じゃあ、どうほどくか。私はいつも、この3つに分けて考えているよ。
① 楽器 ……何が鳴っているか
② 雰囲気 ……どんな気持ちか
③ 場面 ……いつ、どこで聴こえてくるか
さっきの「ほっとする感じ」を、この3つでほどいてみるね。
まず①楽器を決める。「ほっとする」と言ったとき、あなたの頭の中で鳴っているのは、ピアノかい? ギターかい? ——ここを決めるだけで、候補は一気に絞られるんだよ。仮にアコースティックギターにしよう。
次に②雰囲気。同じギターでも「あたたかい」のか「せつない」のかで別物だよね。ここでは「あたたかい(warm)」にする。
最後に③場面。「休日の昼下がり」なのか「雨の日の夜」なのか。場面が決まると、テンポも音の数も自然と決まってくるんだ。
この3つを並べると、こうなるよ。
acoustic guitar, warm, lazy afternoon, gentle, 85 BPM
最初の「relaxing」1語とは、まるで別物だよね。同じイメージから出発したのに、AIに届く情報量が何倍にもなっているんだよ。
ポイントはね、①の楽器を最初に決めることなんだ。ここが決まらないまま雰囲気の言葉ばかり並べると、AIは毎回違う楽器で返してくる。「作るたびに全然違う曲になる」という悩みは、たいていここが原因なんだよね。
3. そのまま使える「イメージ→言葉」変換辞書
ここからが本題だよ。私が実際に使ってきた組み合わせを、場面ごとに並べておくね。そのままコピーして、スタイル欄に貼って使ってほしいんだ。
作業・集中したいとき
集中して作業を進めたい
lo-fi hip hop, mellow keys, subtle beat, no vocals, 80 BPM静かな図書館のような集中
solo piano, minimal, sparse notes, calm, 65 BPM深呼吸したくなる落ち着き
handpan, nature sounds, spacious, meditative, 65 BPM
朝・目覚めのとき
カーテンを開けた瞬間の光
soft piano, gentle strings, morning light, airy, 75 BPM雨上がりの、すっきりした朝
kalimba, soft pad, fresh, delicate, 80 BPM歩き出したくなる朝
acoustic guitar, light drums, hopeful, steady, 110 BPM
夜・眠る前のとき
星空を見上げている
celesta, synth pad, dreamy, wide reverb, 70 BPM静かに泣きたい夜
solo piano, intimate, minimal, slow, 60 BPM子どもの頃を思い出す
music box, glockenspiel, nostalgic, simple melody, 70 BPM
自然・風景の中にいるとき
森の中を歩いている
celtic harp, flute, forest ambience, peaceful, 70 BPM夕暮れの草原に立っている
hammered dulcimer, warm strings, nostalgic, golden, 75 BPM渓流のそばで休んでいる
handpan, water sounds, birds, refreshing, 70 BPM南の島でのんびりしている
ukulele, light percussion, sunny, relaxed, 95 BPM
和の風景を思い浮かべたとき
日本庭園を眺めている
japanese koto, meditative, sparse, traditional, 60 BPM朝もやの竹林
shakuhachi, bamboo ambience, misty, serene, 65 BPM
気持ちを動かしたいとき
頑張れと背中を押される
uplifting pop, acoustic band, energetic drums, bright, 120 BPMカフェで流れていそう
bossa nova, nylon guitar, brushed drums, warm, 90 BPM切なくて胸が締めつけられる
cinematic strings, cello, emotional, slow build, 70 BPM
これで18通りだね。そのまま使ってもいいし、1語だけ入れ替えて自分用に育てていってもいいんだよ。
たとえば「森の中」のceltic harpをpianoに変えれば、同じ森でもぐっと近代的な響きになる。1語ずつ動かして、変化を耳で確かめる——この繰り返しが、いちばん確実に上達する方法なんだよね。
4. BPMは「歩く速さ」で考えると分かるんだよ
辞書の最後に数字を入れておいたよね。あれはBPM、曲の速さのことなんだ。数字と言われるとピンとこないと思うから、目安を書いておくよ。
60〜70 ……ゆっくり深呼吸するくらい。眠る前・瞑想
75〜90 ……のんびり散歩するくらい。作業用・朝
100〜120 ……早足で歩くくらい。応援・気分を上げたい
130以上 ……走っているくらい。運動・盛り上げ
迷ったら「その曲を聴きながら、どんな速さで歩いているか」を想像するといいよ。作業用BGMなら、だいたい80前後に落ち着くはずだね。
BPMを書かないと、AIは毎回違う速さで返してくる。「同じ雰囲気で何曲か揃えたい」ときほど、BPMを固定しておくのが効くんだよ。
5. 言葉が見つからない時は、借りてくればいいんだよ
それでも「この感じ、なんて言えばいいんだろう」と詰まることはあるよね。そういう時の抜け道を教えるね。
他の人が使った言葉を、そのまま見にいくんだよ。
Sunoの画面には「探索」というタブがあって、他の人が公開している曲を聴けるんだ。そしてその曲のスタイル欄に何と書かれていたかが見られるんだよね。
「あ、この感じ好きだな」と思った曲を開いて、使われている言葉をメモする。それだけで、自分の辞書がどんどん増えていくんだ。耳で気に入った音と、言葉が結びついた状態で覚えられるから、用語集を暗記するより何倍も身につくよ。
私の変換辞書も、半分くらいはこうやって拾った言葉でできているんだよね。ゼロから考えようとしないこと――これも立派なコツなんだ。
6. 言葉が増えると、作れる曲が増えるんだよ
最後に、この話の本質を書いておくね。
AIで作れる曲の幅は、AIの性能じゃなくて、こちらが持っている言葉の数で決まるんだよ。
「ハンドパン」という楽器の名前を知らなければ、あの音の曲は一生作れない。「nostalgic(懐かしい)」という言葉を持っていなければ、懐かしい曲は出てこない。知らない言葉の曲は、頼めないんだよね。
だから私は、いい曲に出会ったら「これは何と呼ぶ音なんだろう」と調べるようにしているんだ。楽器の名前を1つ覚えるたびに、作れる曲が1ジャンル増えていく。この積み重ねが、そのまま作品の幅になるんだよ。
これ、AIとの付き合い全般に言えることかもしれないね。AIに何ができるかより、こちらが何を頼めるか。頼み方の語彙が、そのまま成果物の幅になるんだよ。
結論:ぼんやりした気分を、3つにほどこうか
今日の話をまとめるとこうだよ。
① 詰まる原因は英語力じゃなく「気分をそのまま書いていること」
② イメージは楽器・雰囲気・場面の3つにほどける
③ 楽器を最初に決めると、毎回バラバラになるのが止まる
④ BPMは「歩く速さ」で決めれば迷わない
⑤ 言葉が出てこない時は他の人の言葉を借りればいい
「思った通りの曲が出てこない」と感じている時、私たちはついAIの性能を疑ってしまうんだよね。でも実際は、こちらの注文がぼんやりしていることの方が多いんだ。
これって、人に仕事を頼むときとまったく同じだよね。「いい感じにやっといて」で伝わるはずがない。何を、どんな雰囲気で、いつまでに——ほどいて渡せば、ちゃんと返ってくるんだよ。
後輩A君も、次に曲を作るときは、まず「何が鳴っている?」と自分に聞いてみようか。そこからほどいていけば、頭の中の曲にぐっと近づけるはずだよ。
なお、スタイル欄の書き方そのものはプロンプトの5要素の記事に、歌モノを作るときの注意点は入力欄が2つある話にまとめてあるから、あわせて読んでみてほしいんだ。
よくある質問
Q1. スタイル欄は、やっぱり英語じゃないとダメなの?
日本語でも動くけれど、英語の方が正確に伝わるよ。ジャンル名や楽器名はもともと英語で名前がついているものが多いからね。ただし完璧な英文である必要はまったくないんだ。単語をカンマで並べるだけで十分だよ。文法は気にしなくていいんだよね。
Q2. 言葉をたくさん書けば書くほど、思い通りになる?
それが逆なんだよ。詰め込みすぎると、かえってぼやけるんだ。AIが全部を叶えようとして、どれも中途半端になってしまう。5〜6語くらいがちょうどいいと思っているよ。足りないと感じたら足すのではなく、まず1語を入れ替えてみるのがおすすめだね。
Q3. 同じ言葉を入れたのに、毎回違う曲になるのはなぜ?
それはAIの仕組み上、当たり前の動きなんだよ。同じ注文でも毎回違うものが返ってくる。だからこそ「気に入った1曲が出るまで何度も作る」のが前提なんだ。10回作って1〜2曲当たれば上出来、くらいの気持ちでいると疲れないよ。ブレ幅を減らしたいなら、楽器とBPMを固定するのが効くね。
Q4. 変換辞書は、自分で作った方がいいの?
ぜひ作ってほしいね。この記事の辞書はあくまで私の耳で選んだものだから、後輩A君の「ほっとする」とは違うかもしれない。おすすめは、気に入った曲ができたら、その時のスタイル欄をメモに残しておくことだよ。自分専用の辞書が育っていくと、狙った曲が一発で出せるようになるんだ。
【本日のミッション:イメージを3つにほどいてみようか】
- ☐ 作りたい曲を1つ思い浮かべて、「何が鳴っている?」と自分に聞いてみようか
- ☐ 楽器・雰囲気・場面の3つを、日本語でいいので書き出してみようか
- ☐ (後輩A君へ)気に入った曲ができたら、その時の言葉をメモに残そうか。それが自分だけの辞書になるんだよ
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