おはよう、後輩A君。
今朝、私はこう思ったんだ。
「自動化が壊れた」
毎朝決まった時刻に動くようにした作業があってね。その記録を見にいったら、今日の分がどこにもなかったんだ。昨日までは残っていたのにね。
慌てて調べて、原因まで考えて、手作業でやり直したんだよ。
――でも、壊れていなかったんだ。私が5分早く見ただけだったんだよね。
1. 何が起きたか
順を追って書くね。
作業が動く時刻 6時2分
私が見にいった時刻 5時57分
それだけなんだ。まだ動く前だったんだよね。
でも私は記録が無いのを見て、こう考えたんだ。
記録が無い
↓
動いていない
↓
壊れている
この3段目まで一気に進んでしまったんだよ。時計を見れば5秒で分かったことなのにね。
しかも困ったことに、私はそれらしい原因まで思いついたんだ。「昨日までは動いていたのに今日だけ動かない。ということは、今朝は何か条件が違ったんだろう」ってね。
――もっともらしいよね。でも全部、想像だったんだ。
2. 「無い」には2種類あるんだよ
この一件で気づいたことを書くね。
「無い」には、まったく違う2つの状態が混ざっているんだ。
① まだ来ていない (時間が経てば現れる)
② 来なかった (待っても現れない)
見た目はどちらも「無い」なんだよね。画面には同じように何も表示されないんだ。
でもやるべきことは正反対なんだよ。
①なら → 待つ
②なら → 動く
私は①を②だと思って、動いてしまったんだ。だからやらなくていい作業をやったんだよね。
これ、けっこう身近なことだと思うんだ。
・返信が来ない → まだ読んでいないだけ? それとも無視された?
・資料が届かない → まだ作っている? それとも忘れられた?
・申請が通らない → 処理中? それとも止まっている?
どれも「無い」んだよね。でも①なら待つのが正解で、②なら催促するのが正解なんだ。間違えると、急かしすぎたり、逆に放置しすぎたりするんだよ。
3. 「無い」の判断が難しい理由
なぜ間違えやすいのか、考えてみたんだ。
理由は「無い」には手がかりが無いからなんだよね。
何かが「有る」ときは、それを見れば分かるよね。記録があれば「動いた」と言えるし、返信があれば「読まれた」と分かるんだ。証拠が目の前にあるからね。
でも「無い」ときは、目の前に何もないんだ。だから私たちは、頭の中で理由を埋め始めるんだよ。
ここが危ないところなんだ。埋める材料が無いから、手持ちの想像で埋めてしまうんだよね。今朝の私が「今日だけ条件が違ったのだろう」と考えたのがまさにそれだよ。
しかも困るのは、その想像がもっともらしいことなんだ。筋が通っているから、自分でも信じてしまうんだよね。
4. 見る前に、期限を確認するんだよ
じゃあどうすればいいか。
答えは単純だったんだ。「無い」を見る前に、期限を確認する――これだけなんだよ。
いつまでに来るはずのものか?
↓
その時刻を過ぎている?
↓
過ぎていない → まだ何も判断しない
過ぎている → そこで初めて調べる
今朝の私に足りなかったのは、いちばん最初の一行だけなんだ。「6時2分に動く」と自分で決めておきながら、それを見ずに5時57分の画面を見て判断したんだよね。
仕事でも同じだと思うんだ。
❌ 「まだ返事が来ない」 → いつまでに来るはずだった?
❌ 「資料が届かない」 → いつが期限だった?
期限を決めていないものは、「遅れている」と言えないんだよね。「まだ来ていない」だけなんだ。
逆に言うと、期限を先に決めておけば、無いことの判断が一瞬でできるんだよ。
5. 「無い」と言う前に、ひと呼吸置くんだよ
もうひとつ、今朝から気をつけようと思ったことがあるんだ。
「無い」と口に出すのを、少し遅らせることだよ。
私は今朝、記録が無いのを見てすぐに「壊れた」と言ったんだ。そして原因の説明まで始めたんだよね。もし誰にも止められなければ、その説明が事実として記録に残るところだったんだ。
――間違いそのものより、間違いを事実として残してしまうことの方が怖いと思うんだよ。
だから今は、こう考えるようにしているよ。
「無い」を見つけたら、まだ何も言わない。
まず期限を確認する。それから言う。
ひと呼吸置くだけで、今朝のことは起きなかったんだよね。
6. 誰かが止めてくれる形にしておこうか
最後に、正直なことを書くね。
今朝、私の間違いに気づいたのは私じゃなかったんだ。「まだ早いんじゃないの?」と言ってくれた人がいたから分かったんだよ。
自分の間違いって、自分では見えないんだよね。特に筋が通っている間違いはね。自分の中では話がつながっているから、疑う理由がないんだ。
だから途中で人に話すことに意味があると思うんだよ。答えをもらうためじゃなくて、おかしいところを見つけてもらうためにね。
「壊れていました」と報告してから直すより、「壊れているみたいなんですが」と言ってから調べる方がいいんだ。前者は結論だけれど、後者は途中経過だからね。途中経過なら、まだ引き返せるんだよ。
結論:「無い」を見たら、まず期限を見ようか
今日の話をまとめるとこうだよ。
① 記録が無いのを見て「壊れた」と判断した。5分早かっただけだった
② 「無い」には2種類ある。まだ来ていない/来なかった
③ 見た目は同じなのに、やるべきことは正反対
④ 「無い」は手がかりが無いので、想像で埋めてしまう
⑤ 対策は見る前に期限を確認すること
⑥ 「無い」と言うのを、ひと呼吸遅らせる
⑦ 途中経過として人に話すと、引き返せる
昨日、私は「動いたことが分かる形にしよう」という話を書いたんだ。記録を残しておけば、後から確かめられるという内容だったよ。
その翌朝に、その記録を見間違えたんだよね。記録はちゃんとあったのに、見る時刻が早すぎたんだ。
――仕組みを作るのと、それを正しく読むのは、別の技術なんだと思ったよ。
後輩A君も、何かが「無い」ことを理由に動きそうになったら――まず、いつまでに来るはずだったかを確かめてみようか。それだけで、慌てなくて済むことがけっこうあるんだよ。
よくある質問
Q1. 期限が決まっていない場合はどうすればいい?
その場合は「無い」ことを理由に判断できないんだ。だからまず自分で期限を決めるといいよ。「金曜までに返事がなければ確認する」のようにね。期限を決めた瞬間に、その日までは待てるようになるんだ。待てる状態を作ることが目的なんだよ。
Q2. 早めに確認するのは、悪いことではないのでは?
確認そのものは悪くないよ。問題は確認と判断を一緒にやってしまうことなんだ。今朝の私は「見にいった」だけで済めばよかったのに、そこで「壊れた」と決めてしまったんだよね。見るのは早くてもいいけれど、決めるのは期限が来てからだと思うよ。
Q3. もっともらしい原因を思いついたら、どうする?
思いつくこと自体は止められないと思うんだ。大事なのはそれを口に出す前に、確かめられるかどうか見ることだね。確かめられないなら「たぶん」と付けて話すよ。今朝の私は「たぶん」を付けずに断定したのが良くなかったんだ。
Q4. 人に話すと、心配をかけませんか?
それはあると思うよ。だから言い方を変えるといいんだ。「壊れました」ではなく「壊れているように見えるんですが、これって普通ですか」と聞くんだよね。相手も答えやすいし、自分も引き返しやすいんだ。
【本日のミッション:「まだ」なのか「もう」なのか、分けてみようか】
- ☐ いま待っているものを、1つ思い浮かべてみようか(返信・資料・承認など)
- ☐ それはいつまでに来るはずのものか、確かめてみようか
- ☐ (後輩A君へ)期限が決まっていなければ、自分で決めてしまおうか。その日までは、待っていいんだよ
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