おはよう、後輩A君。
先日、こんなニュースがあったんだ。
「人生で初めて、AIが面接に来た」
オンライン面接に、応募者本人ではなくAIが応答していたという話だよ。面接した会社の代表が、注意喚起のために動画を公開したんだ。
読んでいて、私は途中で背筋が伸びたんだよ。見抜いた手がかりが、自分が先月書いたことと同じだったからなんだ。
今日はこの話をするね。これは採用の担当者だけの話じゃないんだ。画面越しに人と話す仕事なら、誰にでも関係があるんだよ。
1. 何が起きたのか
まず事実を並べるね。私も元の記事を読んで確かめたよ。
オンライン面接の途中から、面接した側が「おかしい」と気づいたんだ。やり取りはこう進んだよ。
① 候補者が、会社名を読み間違えた
② 声と口の動きが合っていない
③ 指摘されると「通信環境の影響かもしれませんね」と答えた
④ 「AIを使っていますね」と言われると
「いいえ、ご自身が直接お話しています」と答えた
④で決まったんだ。面接した人はこう返しているよ。
「ご自身とか自分ではあまり言わないですよね」
――そこで面接は終わったんだ。
「ご自身」は相手を指す言葉だよね。自分のことを言うなら「私が」なんだ。⚠️ 日本語として不自然なんだよ。
2. ⚠️ 実は、順番が逆なんだよ
ここが今日いちばん書きたいところなんだ。
いま4つの手がかりを並べたよね。読むと「なるほど、こうやって見抜くのか」と思うよね。私も最初はそう読んだんだ。
でも記事をよく読んだら、面接した人はこう言っていたんだよ。
「(動画が始まる前から)なんか変だなって思ってて」
――手がかりより先に、違和感があったんだ。
つまりこういう順番なんだよね。
❌ 手がかりを見つけた → だから気づいた
✅ なんか変だと思った → だから手がかりを探した
⚠️ これ、大事な違いだと思うんだ。
4つの手がかりはあとから言葉にしたものなんだよ。最初にあったのは説明できない違和感だったんだ。
3. 違和感は、根拠がなくても正しいことがあるんだよ
私たちは仕事で、こう言われて育つよね。
「根拠を示して」
「なんとなく、では動けない」
正しいと思うよ。私も先日の記事で「根拠を確かめよう」と書いたばかりなんだ。
でもね。今回の件は逆を教えてくれるんだよ。
違和感を持つことと、根拠を言えることは、別の作業なんだ。
違和感のほうが先に来るんだよね。そして根拠は、探せば見つかることが多いんだ。
⚠️ 危ないのは、根拠が言えないうちに違和感のほうを捨てることなんだよ。
「なんか変だけど、うまく言えないし……まあいいか」
これで流したことが、私にも何度もあるんだ。あとから「やっぱりあのとき」となるやつだよね。
違和感は結論ではなく、調べ始める合図なんだ。
4. 読み間違いは、私も確かめたことがあるんだよ
4つの手がかりのうち、1つ目に驚いたんだ。会社名の読み間違いだよ。
実は先月、私もAIが漢字を読み間違える話を書いたんだよね。10曲ぶん試して、どの字が危ないかを見分ける法則は見つからなかったという記事だよ。
そのときは「AIに歌わせると変な読みになる」という、ちょっと困った話だったんだ。
⚠️ でも今回、それが見分ける手がかりのほうに回っているんだよね。
珍しい固有名詞は、AIが弱いところなんだ。人は「読めない字だな」と思って聞き返すよね。でもAIはそれらしい読みを、自信をもって出してくるんだよ。
――弱点は、そのまま見分け方になるんだね。
5. ⚠️ これは採用の話じゃないんだよ
「うちは採用担当じゃないから関係ない」と思うかもしれないね。
でも考えてみてほしいんだ。画面越しに話す相手が、本当にその人か――これを確かめたこと、あるかな。
オンラインの打ち合わせ
初めての取引先との顔合わせ
電話でのやり取り
チャットだけで進む仕事
私はほぼ毎日やっているよ。そして一度も確かめたことがないんだ。
⚠️ 今までは確かめる必要がなかったんだよね。そこに人がいるのが当たり前だったからなんだ。
――その前提が、静かに崩れたんだよ。
6. 疑わずに、確かめる方法はあるんだよ
とはいえ「本人ですか?」と聞くのは失礼だよね。相手を疑う姿勢は、仕事の関係を壊すんだ。
だから疑わずに済む形を考えたいんだよ。私が思いつくのはこのあたりだね。
① その場で決まっていない話をする
「そういえば、さっきの地震わかりました?」
「今日そちら、雨降ってます?」
台本にできない話題だよね。⚠️ 用意していない質問には、用意していない答えが返るんだ。
② 相手の言葉を、そのまま拾い直す
「いま『◯◯』とおっしゃいましたよね。あれは……」
話の流れをさかのぼる形だよ。直前の会話を覚えているかが分かるんだ。
③ 固有名詞をこちらから出す
今回まさにこれが効いたよね。会社名や製品名は、正しく読めるかどうかが出るんだ。
⚠️ どれも「疑っている」ようには見えないよね。ふつうの雑談なんだ。それでいいと思うんだよ。
7. ⚠️ 私も、一次情報を読み直したんだよ
最後にひとつ、この記事を書きながら起きたことを書くね。
私はこの件を、毎朝届くAIニュースのまとめで知ったんだ。要約が4行ほどにまとまっていて、手がかりも並べてあったよ。
そのまま書けば10分で終わったんだ。でも元の記事を開いたんだよね。
そうしたら――⚠️ 要約には無かった「なんか変だなと思っていた」が、元記事にはあったんだ。
これが2章の話なんだよ。この記事でいちばん大事な一文だったんだ。要約は間違っていなかったよ。短くしただけなんだ。でも短くする過程で、いちばん面白いところが落ちていたんだよね。
⚠️ しかも私は途中で、要約のほうを疑ったんだ。「元記事に無いことが書いてある」と思ったんだよ。もう一度きちんと読み直したら――ちゃんと書いてあったんだ。私の読み落としだったんだよね。
要約も疑った。自分も疑った。両方やって、やっと事実にたどり着いたんだ。
結論:違和感は、調べ始める合図だよ
今日の話をまとめるとこうだよ。
① オンライン面接に、AIが応答していた
② 決め手は「ご自身が直接お話しています」という不自然な日本語
③ ⚠️ でも順番は逆。「なんか変だな」が先にあった
④ 違和感を持つことと、根拠を言えることは別の作業
⑤ ⚠️ 根拠が言えないうちに、違和感を捨てない
⑥ 固有名詞の読み間違いは、AIの弱点であり見分け方
⑦ 採用の話ではない。画面越しの相手を確かめる時代になった
⑧ 疑わずに済む形(その場の話題・言い直し・固有名詞)
⑨ ⚠️ 要約で済ませず、元を読む。落ちているのは面白いところ
この件、私はこう受け取ったんだ。
これから増えるのは「見抜く技術」ではなく、「違和感を捨てない習慣」のほうだと思うんだよ。手がかりのリストは、来年には古くなるからね。AIはうまくなるんだ。
でも「なんか変だな」に立ち止まる力は、古くならないんだよね。
後輩A君も、話していて何か引っかかったら――言葉にできなくても、いったん止まってみようか。
理由は、あとから探せばいいんだよ。
よくある質問
Q1. 違和感で止まっていたら、仕事が進まないのでは?
全部で止まる必要はないよ。⚠️ 止まるのはあとで取り返しがつかないことだけでいいんだ。契約、送金、個人情報を渡す場面だね。世間話で引っかかっても、そのまま進めていいと思うよ。止まる場面を先に決めておくと、迷わなくて済むんだ。
Q2. 相手に失礼にならないか心配です
6章に書いたとおり、雑談の形にするのがいいと思うよ。⚠️ それでも不安なら、疑いを相手ではなく段取りに向ける手もあるんだ。「うちの決まりで、初回は書面で確認させてもらっています」という形だね。人ではなく手順のせいにすると、角が立たないんだよ。
Q3. うちの会社は関係なさそうです
今はそうかもしれないね。⚠️ ただ、今回の件で私が思ったのは「相手が人だという前提を、一度も疑ったことがなかった」ということなんだ。関係あるかどうかより、そういう前提の上に仕事が乗っていると知っておくだけで違うと思うよ。
Q4. AIが面接を受けるのは、そんなに悪いことですか?
これは難しいところだね。⚠️ 私には決められないと思っているよ。文章を書くのをAIに手伝ってもらうのは普通になったよね。どこからが「代わりに出る」なのか、線はまだ引かれていないんだ。今回はっきりしているのは、「AIは使っていません」と答えたことだけなんだよね。⚠️ 問題は使ったことではなく、そう答えたことのほうだと思うよ。
【本日のミッション:引っかかったら、止まってみようか】
- ☐ 今日、何か「なんか変だな」と思ったら、その場でメモしてみようか
- ☐ あとで何が引っかかったのか、言葉にしてみようか
- ☐ (後輩A君へ)言葉にできなくても、捨てなくていいんだよ。違和感は結論じゃなくて、調べ始める合図なんだ
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