42日前の自分から、伝言が届いたんだよ

A君の成長

おはよう、後輩A君。

先日の朝、42日前の自分から伝言が届いたんだ。

7月に、ある設定をひとつ消したんだよね。そのとき「9月6日に戻す」とリマインドを仕込んでおいたんだ。それが予定どおり鳴ったんだよ。

――ここまでなら、ただのリマインダーだよね。

でも中身を読んで、私はちょっと感心したんだ。過去の自分が、思っていたよりずっと親切だったんだよ。

今日はその話をするね。未来の自分に、何を残しておくかという話なんだ。

1. 日付だけのメモは、たいてい放置されるんだよ

まず、うまくいかないほうの話からするね。

こういうメモ、書いたことないかな。

「10月 あの設定を見直す」
「来期 この運用を再検討」
「3ヶ月後 もう一度確認」

私はよく書くよ。そしてたいてい放置するんだ。

理由ははっきりしているんだよね。その日が来たとき、こうなるんだ。

「これ、なんでやるんだっけ?」

思い出せないんだよ。書いた当時は「言うまでもない」と思っていたことが、3ヶ月後には跡形もなく消えているんだ。

そして人は、理由が分からないことはやらないんだよね。当たり前なんだ。判断できないんだからね。

こうして「あとで見直す」は、見直されないまま消えていくんだよ。

2. 届いた伝言には、4つ書いてあったんだよ

今回の伝言は、そうじゃなかったんだ。日付のほかに、こう書いてあったんだよ。

なぜ消したのか
(表示がひとつと重なって、二重に見えていたから)

いつ戻していいのか
(重なっていた分の出番が終わったら)

戻すと何が起きるのか
(過去の14本だけは、二重のまま残る)

それは承知のうえで選んだ
(作り直すのは現実的でないと判断した)

――これを読んだ瞬間、その場で判断できたんだよ。

①があるから「まだ必要か」が分かるんだ。②があるから「今でいいのか」が分かるんだよね。③があるから「やったらどうなるか」が分かるんだ。

そして④が効いているんだよ。「これは妥協した結果だ」と、当時の自分が認めているんだ。だから今の私は、その妥協ごと引き受けるかどうかだけを考えればよかったんだよ。

3. 渡していたのは、予定ではなく判断の材料だったんだよ

整理するとこうなんだ。

ふつうのリマインダー → やることを渡す
今回の伝言     → 判断の材料を渡す

この違いは大きいと思うんだ。

やることだけ渡されると、未来の自分は「実行する係」になるんだよね。でも状況は3ヶ月で変わっているかもしれないんだ。実行していいのかどうか、判断できないんだよ。

材料ごと渡されると、未来の自分は「もう一度決める係」になるんだ。同じ結論になるかもしれないし、変わるかもしれない。どちらでも動けるんだよね。

⚠️ ここが大事なんだ。未来の自分は当時のことを何も知らない他人だと思ったほうがいいんだよ。実際、そのくらい忘れているからね。

4. ⚠️ いちばん効いたのは「断ってもいい」の一文だったんだよ

そして、いちばん感心したのはここなんだ。伝言の最後に、こう添えてあったんだよ。

「まだやらなくていい」と言われたら、
無理に勧めずに引き下がること。

――これ、すごいと思わないかな。

過去の自分が、未来の自分に「やらない自由」を残しているんだよ。

リマインドって、たいていやらせにくるものだよね。鳴って、急かして、済むまで出てくるんだ。だから私たちはリマインドをうるさいものとして扱うようになるんだよね。そして通知を切るんだ。

でも今回のは違ったんだよ。「その時の判断でいい」と最初から言ってあるんだ。

だから読んだとき、身構えなかったんだよね。落ち着いて中身を読めたんだ。――結果として、ちゃんと検討したんだよ。

⚠️ 逆説的なんだけどね。やらなくていいと言われたほうが、ちゃんと考えるんだ。

5. これ、人への引き継ぎでも同じなんだよ

ここまで書いて、思い当たることがあるんじゃないかな。

引き継ぎ資料って、たいてい手順しか書いていないよね。

「毎月5日に、このファイルを更新する」
「この設定はオフにしておく」
「この帳票は部長に回す」

受け取った人は、そのとおりにやるよ。最初のうちはね。

でも半年もすると、こうなるんだ。

「これ、まだ必要なんですか?」
「さあ……前からそうなってるので

――こうやって、誰も理由を知らない作業が生まれるんだよね。

先日の記事で「存在しないルールに4回断られた」話を書いたけれど、あれの作られ方がこれだと思うんだ。理由を書かずに手順だけ渡した結果なんだよね。

だから引き継ぎには、手順のほかにこれを1行ずつ足すといいと思うんだ。

なぜこうしているか
どうなったらやめていいか

2行だよ。これがあるだけで、受け取った人は考え直せるんだ。

6. ⚠️ 全部にやらなくていいんだよ

念のため書いておくね。何にでも理由を書けという話ではないんだ。

毎日やることに毎回理由を添えていたら、読むほうが疲れるよね。⚠️ そして読まれない説明は、無いのと同じなんだ。

私の線引きはこうだよ。

「一度決めて、しばらく放置するもの」にだけ理由を添える。

毎日触るものは、忘れないから要らないんだ。忘れるのは間が空くものだからね。

・数ヶ月後に見直す設定
・例外として止めている機能
・「今はやらない」と決めたこと

このあたりだけでいいと思うよ。「今はやらない」と決めた話を書いたことがあるけれど、やらないと決めたものこそ、理由が消えやすいんだよね。やっていないから、思い出す機会もないんだ。

7. 治す話ではなく、防ぐ話なんだよ

最後にひとつだけ。

前に「その根拠は今でも正しい?」という記事を書いたんだ。あれはあとから根拠を確かめ直す話だったんだよね。

今日の話は、その裏側なんだ。

あの記事 → 根拠をあとで確かめる(治す)
今日の話 → 根拠を先に添えておく(防ぐ)

確かめ直すのは、けっこう大変なんだよ。当時の資料を探して、当時いた人に聞いて――見つからないことも多いんだ。

でも決めた瞬間に1行書いておくのは、10秒なんだよね。

10秒と、半日。そのくらい違うんだ。

結論:未来の自分は、何も知らない他人だよ

今日の話をまとめるとこうだよ。

① 日付だけのメモは「なんでやるんだっけ」で放置される
② 届いた伝言にはなぜ・いつ・副作用・承知のうえが書いてあった
③ 渡していたのは予定ではなく判断の材料だった
④ ⚠️ 最後に「断ってもいい」と添えてあった
⑤ やらなくていいと言われたほうが、かえってちゃんと考える
⑥ 引き継ぎにはなぜ/どうなったらやめていいかの2行を足す
⑦ ⚠️ 全部には要らない。間が空くものにだけ
⑧ 確かめ直すのは半日。先に書くのは10秒

私はこの伝言を読んで、素直に「ありがとう」と思ったんだ。書いたのは自分なのにね。

42日前の自分は、42日後の自分を信用していなかったんだよ。「どうせ忘れているだろう」と思って、あれだけ書いてくれたんだ。

――それでよかったんだよ。実際、きれいさっぱり忘れていたからね。

後輩A君も、「あとで見直す」とメモするときは――1行だけ、理由を足してみようか

その1行が、未来の自分を助けるんだよ。

よくある質問

Q1. どこにメモすればいいですか?

その日に届く場所ならどこでもいいよ。カレンダーの予定でも、リマインダーアプリでも、手帳でもね。⚠️ 大事なのは場所より本文の中身なんだ。タイトルに「設定を見直す」とだけ書いて、メモ欄に理由を2〜3行入れておくといいよ。タイトルだけだと、まず思い出せないんだよね。

Q2. 未来のことは分からないので、条件が書けません

それなら「分からない」と書いておけばいいんだ。「この時点では判断できないので、そのときの状況で決めてほしい」でいいんだよ。⚠️ いちばんまずいのは適当な条件をでっち上げることなんだ。未来の自分がそれを鵜呑みにしてしまうからね。

Q3. 過去の自分のメモが、間違っていたときは?

遠慮なく直していいよ。というよりそのために理由を書いてあるんだ。理由が残っているから「あのときの前提が変わった」と気づけるんだよね。⚠️ 手順しか書いていないメモだと、間違っていることにすら気づけないんだ。

Q4. 人に引き継ぐとき、理由まで書くと長くなりませんか?

なるよ。だから全部には書かないんだ。6章に書いたとおり、間が空くものと、例外として止めているものだけでいいと思うよ。毎日やる作業は、やっているうちに理由が体で分かるからね。⚠️ 逆に「なぜか止めてある設定」は必ず書いておこうか。あれがいちばん怖いんだ。

【本日のミッション:1行だけ理由を足そうか】

  • ☐ 「あとで見直す」とメモしてあるものを、ひとつ探してみようか
  • ☐ そこになぜそうしたかを1行だけ足してみようか
  • ☐ (後輩A君へ)ついでに「どうなったらやめていいか」も書けたら最高だよ。未来の自分は、何も知らない他人なんだ

📚 AI活用シリーズ(おすすめ)

▼ シリーズの全記事一覧を見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました