おはよう、後輩A君。
最近、自分に問いかけている言葉があるんだ。
「正しい」と思ったとき、その根拠は何だろう。
そしてその根拠は、今でも正しいだろうか。
――2つあるのがポイントなんだよ。根拠があるかどうかと、その根拠が古くなっていないかは、別の話なんだよね。
今日はこの話をするね。私が実際に間違えた話も一緒に書くよ。
1. 根拠のない「正しい」があるんだよ
まず1つ目からね。
あるとき、私は何年も同じやり方を続けていたんだ。理由を聞かれて、答えようとして――答えられなかったんだよ。
思い出してみると、こうだったんだ。
前からそうなっていた
↓
たぶん理由があるんだろう
↓
そのまま続けた
誰かが決めた理由を、確かめずに引き継いでいたんだよね。しかも私は、それを正しいやり方だと思い込んでいたんだ。
もっと悪いことに、私はそれらしい理由を後から考えて説明していたんだよ。「たぶんこういう事情だろう」とね。
――でもそれ、確かめていないんだ。想像なんだよね。
こういうのって、けっこうあると思うんだ。
・この書式でずっとやっているから
・前任者がこうしていたから
・研修でそう習ったから
どれも理由のように見えて、理由ではないんだよね。「誰かが決めた」というだけなんだ。
2. 古くなった「正しい」があるんだよ
2つ目はこっちだよ。根拠はあったけれど、今は違うというパターンだね。
これが厄介なんだ。一度は本当に正しかったから、疑う理由がないんだよね。
私にも心当たりがあるよ。
・「この作業は手でやるしかない」 → 今は自動でできる
・「この方法だと時間がかかる」 → 今は数分で終わる
・「これは無理だと言われた」 → 言われたのは3年前
とくにソフトや道具まわりは、1年で変わるんだ。去年できなかったことが、今年はできるようになっていることがよくあるんだよね。
でも私たちは一度「無理」と分かったことを、もう一度試さないんだ。当たり前だよね。無理だと知っているんだから。
――知っているつもりが、いちばん動かないんだよ。
3. 私が実際に間違えた話
最近あったことを、正直に書くね。
決まった時刻に動く作業があってね。ある朝、記録を見たら今日の分がなかったんだ。
私はこう考えたよ。
記録がない → 動いていない → 壊れている
そして原因まで説明したんだ。「昨日までは動いていたのに今日だけ動かない。ということは条件が違ったのだろう」とね。
――筋は通っていたんだよ。自分でも納得していたんだ。
でも横から「まだ早いんじゃないの?」と言われてね。時計を見たら、動く時刻の5分前だったんだ。
つまり私の「正しい」には根拠が1つもなかったんだよ。記録がないという事実から、想像だけで結論まで進んでいたんだ。
もっともらしさは、正しさの証拠にならないんだよね。
4. なぜ自分では気づけないのか
ここを考えてみたんだ。
間違っているとき、頭の中では話がつながっているんだよね。だから疑う理由がないんだ。
矛盾を感じないから、立ち止まらないんだよ。むしろすっきり説明できたときほど危ないのかもしれないね。
そして、こういうときに人は説明が上手くなるんだ。自分の中で筋が通っているからね。だから周りも納得してしまうんだよ。
――だから自分ひとりでは止まれないんだと思うんだ。
5. じゃあ、どうするか
私がやっている(やろうとしている)ことを3つ書くね。
① 「どこで確かめたの?」と自分に聞く
根拠があるかどうかは、この一言で分かるんだ。
答えられる → 根拠がある
「たしか…」 → 記憶であって根拠じゃない
「一般的に」 → 推測だね
記憶と根拠は違うんだよね。ここを混ぜないようにしているよ。
② 「それはいつの話?」と自分に聞く
こっちが2つ目の問いだね。根拠に日付を付けるんだ。
「無理だと分かっている」 → いつ試した?
「この方法が一番早い」 → いつ比べた?
3年前の話なら、もう一度試す価値があるかもしれないよね。
③ 途中で人に話す
これがいちばん効くと思うんだ。
結論を出してから報告するのではなく、途中で話すんだよ。「壊れているみたいなんですが」と言えば、相手は「まだ早くない?」と返せるからね。
「壊れていました」と言い切ってしまうと、相手は指摘しにくくなるんだ。もう終わった話に聞こえるからね。
――途中経過なら、まだ引き返せるんだよ。
6. 謙虚さの話ではないんだよ
こういう話をすると「謙虚でいよう」という結論になりがちだよね。
でも私は、少し違うと思っているんだ。
謙虚さって気持ちの話だよね。気持ちは疲れているときに保てないんだ。忙しいときこそ確かめたいのに、忙しいときこそ気持ちに余裕がないんだよね。
だから私は手順にしたいと思っているんだ。
❌ 「謙虚に確かめよう」と心がける
⭕ 「どこで確かめた?」「それはいつ?」と口に出す
2つの質問を言葉として持っておくんだよ。そうすれば、気持ちが落ちている日でも使えるからね。
――気をつけるだけでは直らないんだ。私は何度もそれで失敗しているよ。
7. 全部を疑う必要はないんだよ
最後に、バランスの話を書いておくね。
全部を確かめていたら、何も進まないよね。私も普段は、ほとんどのことを確かめずにやっているよ。
確かめるのは、この2つのときだけなんだ。
① 間違っていたら困るとき(人に出す・お金が動く・戻せない)
② 「絶対にこうだ」と思ったとき
②が大事なんだ。強く思ったときほど確かめるんだよ。
迷っているときは、そもそも慎重になるよね。危ないのは迷っていないときなんだ。すっきり説明できてしまったときこそ、一度止まってみるといいと思うよ。
結論:根拠に、日付を付けようか
今日の話をまとめるとこうだよ。
① 根拠のない「正しい」がある(引き継いだだけ)
② 古くなった「正しい」がある(一度は本当に正しかった)
③ 間違っているとき、頭の中では話がつながっている
④ もっともらしさは、正しさの証拠にならない
⑤ 問いは2つ。「どこで確かめた?」「それはいつ?」
⑥ 謙虚さではなく手順にする
⑦ 強く思ったときほど確かめる
私がいちばん怖いと思うのは、間違えることそのものではないんだ。
間違えたときにそれらしい説明ができてしまうことなんだよね。説明ができると、自分でも信じてしまうし、周りも納得してしまうんだ。そしてそれが事実として残ってしまうんだよ。
だから――「正しい」と思ったときこそ、根拠を見にいこうか。
そしてその根拠に日付が付いているか、確かめてみようか。古い日付なら、もう一度試してみる価値があるかもしれないんだよ。
よくある質問
Q1. 前任者のやり方を疑うのは、失礼になりませんか?
やり方を否定するのではなく、理由を聞くといいと思うよ。「これはどういう経緯でこうなったんですか」と聞けば、相手も答えやすいよね。理由が分かれば続ける判断もできるんだ。疑うことと否定することは、別のことだと思うな。
Q2. 「いつの話?」と聞かれて答えられないときは?
それが分かっただけで収穫だと思うよ。日付が思い出せない根拠は、たいてい古いんだ。私の場合、そういうものは一度だけ試し直すようにしているよ。試して同じ結論なら、それはそれで新しい根拠になるからね。
Q3. 全部確かめていたら、仕事が進みません
そうだよね。だから私もほとんど確かめていないんだ。確かめるのは「間違っていたら困るとき」と「絶対にこうだと思ったとき」の2つだけだよ。数を絞らないと続かないと思うんだ。
Q4. 人に途中で話すのは、頼りなく見えませんか?
そう見えることはあると思うよ。でも間違ったまま進むより、ずっといいと思うんだ。それに言い方を変えれば印象も変わるよね。「分かりません」ではなく「こう考えているんですが、抜けはありますか」と聞けば、自分の考えを示した上で確認していることになるんだ。
【本日のミッション:根拠に日付を付けてみようか】
- ☐ 「これはこうするもの」と思っていることを、1つ思い浮かべてみようか
- ☐ 「どこで確かめた?」と自分に聞いてみようか
- ☐ (後輩A君へ)答えられたら、次に「それはいつ?」と聞いてみようか。古ければ、もう一度試す価値があるんだよ
📚 AI活用シリーズ(おすすめ)

コメント