おはよう、後輩A君。
先日、AIの使い方について人と話す機会があったんだ。そのとき私のやりとりを見せたら、けっこう驚かれたんだよね。
「そんな風に頼むんですね」って。
でも私は、特別な頼み方をしているつもりがなかったんだ。だから家に帰って、自分が普段どうしているかを振り返ってみたんだよ。
そうしたら気づいたんだ。大事なのは頼み方じゃなかったということにね。
1. 頼み方の話ばかりされている気がするんだよ
AIの使い方でよく聞くのは、こういう話だよね。
・具体的に書きましょう
・役割を与えましょう(「あなたはプロの編集者です」など)
・箇条書きで指示しましょう
どれも間違っていないと思うよ。実際、私もやっていることがあるんだ。
でも――これだけだと、うまくいかないんだよね。
なぜなら全部「渡すとき」の話だからなんだ。返ってきたものをどうするかが入っていないんだよ。
2. 私が実際にやっていること
自分のやりとりを見返して、3つ見つけたんだ。順番に書くね。
① 相手が知らないことだけを渡す
私の指示は、けっこう短いんだ。「次はこれで」「その方向で」くらいで済むことも多いんだよ。
でも長く書くときもあるんだ。たとえば自分の契約状況や、過去にどう失敗したかを説明するときだね。そういうのは相手が絶対に知らないことだからなんだ。
つまり長さを調整しているんじゃなくて、相手が持っていない情報を探して渡しているんだよね。
② 返ってきたものを疑う
これがいちばん大事だと思うんだ。あとで詳しく書くね。
③ 決めるのは自分
「どうしましょうか」と聞かれたら、私が決めるんだ。AIに判断を丸投げしないんだよ。候補を出してもらうのはいいけれど、選ぶのは自分の仕事だからね。
3. ②が本命なんだよ
先日のやりとりで、実際に私が言ったことを並べてみるね。
「まだ早いんじゃないの?」
「それはやめておこう」
「なぜそうしているの?」
「これを相手が読んだらどう思うかな?」
全部、返ってきたものへの反応なんだよね。頼み方じゃないんだ。
そしてこの4つとも、実際に何かを止めたんだよ。
ひとつ具体例を書くね。あるとき、決まった時刻に動くはずの作業を確認したら、記録がなかったんだ。私は「動いていない」と判断して、原因まで説明したよ。もっともらしい説明だったんだ。
でも横から「まだ早いんじゃないの?」と言われてね。時計を見たら、実行時刻の5分前だったんだよ。
――筋の通った間違いだったんだ。自分では気づけなかったんだよね。
4. なぜ「疑う」が難しいのか
AIの答えって、形が整っているんだよね。
言い切ってくれるし、理由も添えてくれるし、箇条書きにもなっている。迷っている感じがしないんだ。
人間なら「たぶん」「自信ないけど」と言うところを、はっきり言ってくれるんだよね。だからそのまま受け取ってしまうんだ。
私が思うに、これはAIが嘘をつくという話じゃないんだよ。分からないことも、分かっている口調で書けるという話なんだ。
――だから口調では判断できないんだよね。
5. どう疑えばいいか
とはいえ、全部を疑っていたら疲れるよね。私が実際にやっているのは、この3つだけだよ。
① 根拠を聞く
「それはどこで確かめたの?」
「なぜそうなっているの?」
この一言で、推測なのか確認済みなのかが分かるんだ。答えられなければ推測なんだよね。
実際、私が「なぜそうしているの?」と聞いたとき、返ってきたのは「分かりません。前からそうなっていたので合わせました」だったんだ。理由がないまま続いていたということだよね。聞かなければ、ずっとそのままだったよ。
② 自分が知っている部分を見る
全部は確かめられないよね。でも自分の得意な部分だけなら見られるんだ。
そこが合っていれば全部合っている、とは言えないよ。でもそこが間違っていたら、他も怪しいと分かるんだよね。
③ 「相手がこれを読んだらどう思うか」を想像する
文章や資料を作らせたときは、これが効くんだ。正しいかどうかとは別の軸だからね。
実際、これで公開を止めたことがあるよ。内容は間違っていなかったんだ。でも書かれた側が読んだら嫌な気持ちになると気づいてね。事実だから書いていい、とは限らないんだよね。
6. 「任せる」と「丸投げ」の違い
ここまで書いてきて、言葉にできた気がするんだ。
丸投げ → 渡して、受け取って、そのまま使う
任せる → 渡して、受け取って、おかしければ返す
違いは往復があるかどうかなんだよね。
そして往復があるということは、こちらもある程度は分かっている必要があるんだ。まったく知らないことは、返ってきても判断できないからね。
――これ、少し残念な結論に聞こえるかもしれないよね。AIを使っても、自分が分かっていないといけないのかって。
でも私はそう思わないんだ。全部を分かっている必要はないんだよ。おかしいと気づける程度に分かっていればいいんだ。この差は大きいと思うんだよね。
往復は、こちらから先に作れるんだよ
返ってくるのを待って直す――これだと後手なんだよね。実はもうひとつ、先に仕掛けておく方法があるんだ。
私が最初に必ず伝えているのは、この一言だよ。
「内容を濃くするために情報が足りなければ、聞いてね」
これがあるかないかで、返ってくるものが変わるんだ。
なぜかというと――AIは、知らないことでも書けてしまうからなんだよね。人なら「そこは分かりません」と止まるところを、それらしく埋めてしまうんだ。悪気があるわけじゃなくて、止まる理由がないんだよ。
でも「聞いていい」と先に言っておくと、聞いてくるんだ。
実際、私が自分の体験を記事にしたときはこうだったよ。
私 「この件を記事にして」
↓
AI 「そのとき実際にいくらかかりましたか? 何が失敗の原因でしたか?」
↓
私 (実際の金額と経緯を答える)
もし聞かれなかったら、それらしい数字が入った記事ができていたと思うんだ。私はそれを読んで「まあこんなものか」と流していたかもしれないよ。
疑うのは、間違いを見つける作業だよね。でも先に聞いてもらうのは、間違いが生まれる前に止める作業なんだ。後者の方が、当然ながら楽なんだよね。
7. 最初から真似できるのはどれか
最後に、正直なことを書いておくね。
①の「短く頼む」は、真似しにくいと思うんだ。
私が短く頼めるのは、これまでのやりとりが積み重なっているからなんだよね。使い始めた人が同じ短さで頼んだら、たぶん噛み合わないよ。
でも②と③は、初日からできるんだ。
② 返ってきたら「根拠は?」と聞く
③ 選ぶのは自分
むしろ使い始めのときほど必要だと思うんだよね。慣れていないほど、出てきたものを信じてしまうからね。
後輩A君も、AIを使うときは――頼み方より、受け取り方を意識してみようか。そっちの方が、たぶん早く上手くなるんだよ。
結論:渡すことより、返すことだよ
今日の話をまとめるとこうだよ。
① AIの使い方は「渡すとき」の話ばかり語られている
② でも効くのは返ってきたものへの反応
③ AIの答えは形が整っているので疑いにくい
④ 疑い方は3つ。根拠を聞く/得意な部分を見る/読んだ人を想像する
⑤ 丸投げと任せるの違いは、往復があるかどうか
⑤’ 往復は「足りなければ聞いてね」で先に作れる
⑥ 全部分かる必要はない。おかしいと気づける程度でいい
⑦ 短く頼むのは真似しにくいが、疑うのは初日からできる
人に見せて驚かれたとき、私は自分が何をしているのか説明できなかったんだ。無意識にやっていたからね。
でも振り返ってみたら、特別なことは何もしていなかったんだよ。ただ出てきたものを、そのまま信じていなかっただけなんだ。
――これって、人に仕事をお願いするときも同じだよね。上がってきたものを見て、気になれば聞く。それを普通にやっているだけなんだよ。
相手が機械だと、なぜかそれをやらなくなるんだ。不思議だけれど、そういうものらしいんだよね。
よくある質問
Q1. 疑ってばかりだと、時間がかかりませんか?
全部は疑わないよ。私が確かめるのは「これが間違っていたら困る」ところだけなんだ。人に出す文章、数字、手順――このあたりだね。逆に、下書きやアイデア出しはほとんど確かめないよ。間違っていても被害がないからね。
Q2. 「根拠は?」と聞くと、それらしい根拠が返ってきませんか?
あるよ。だから「どこで確かめたの?」と聞く方がいいんだ。「一般的にそう言われています」なら推測だし、「この画面で確認しました」なら確認済みだよね。確かめた方法まで聞くのがコツだと思うよ。
Q3. 自分が分からない分野では、どうすればいい?
正直に言うと、そこは危ないところなんだ。私も分からない分野では判断できないよ。だからそういう仕事は、分かる人に見てもらうようにしているんだ。AIに聞いたから大丈夫、とはならないんだよね。
Q4. AIに「自信がありますか」と聞くのは有効?
あまり当てにならないと感じているよ。自信があるかどうかも、それらしく答えてしまうからね。それより「確かめた方法」を聞く方が確実だと思うな。方法は具体的だから、あるかないかがはっきりするんだよ。
【本日のミッション:返ってきたものに、一言返してみようか】
- ☐ 今日AIに何か頼むとき、最初に「情報が足りなければ聞いてね」と伝えてみようか
- ☐ 出てきた答えに「どこで確かめたの?」と聞いてみようか
- ☐ 答えが推測なのか確認済みなのか、見分けてみようか
- ☐ (後輩A君へ)人に仕事をお願いしたときと同じように接してみようか。それだけでいいんだよ
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