もし事故を起こしたら…自動車保険なしで5億円請求!?
後輩A君は自家用車を持っていませんが、もし自家用車を購入する場合には、自動車保険に加入するのでしょうか。実際、交通事故による損害賠償は数千万円から、時には5億円を超えることもあります。そのため、自動車保険に加入していないと、人生が一変する可能性があるため、自動車保険に加入する価値があると言えます。後輩A君が自家用車を購入した時に、どの様な内容の保険に加入すると、効果的で保険料を抑えた保険になるかを考えてみましょう。
※この記事は2026年7月に、同乗者の補償のしくみ(対人賠償・搭乗者傷害・人身傷害の関係)を大幅に加筆しました。

自賠責保険
後輩A君が自家用車を購入した時に加入するのは自賠責保険になります。自賠責保険は、自動車を購入する際に強制的に加入しなければならない保険です。この保険は対人賠償のみを対象としており、死亡の場合は最高3,000万円、傷害の場合は最高120万円、後遺障害の場合は75万円から4,000万円までの範囲で補償されます。これらの金額を超える賠償請求があった場合でも、支払われるのは上記の金額までとなります。例えば、5億円の賠償請求があった場合、十分な補償が得られません。また、相手の自動車に対する対物賠償は対象外となるため、その分は別途自動車保険でカバーする必要があります。
ちなみに自家用車の保険料は24ヶ月で17,650円(2025年現在)になります。
自動車保険(任意保険)で必要な補償・削れる補償
自賠責保険で足りない部分をカバーするのが、保険会社と契約する自動車保険(任意保険)です。ここからが本題です。「全部盛り」にすると保険料はどんどん高くなるので、必要な補償と削れる補償を切り分けましょう。
必要なのは「対人賠償」と「対物賠償」(どちらも無制限)
必要な保険は、ぶつけた相手に賠償するための「対人賠償保険」と「対物賠償保険」です。冒頭の5億円のような賠償はここでカバーします。この2つは金額をケチる場所ではないので、無制限で加入しましょう。
同乗している友人のケガは「対人賠償保険」で補償されます
これ、意外と知らない人が多いのですが、自分の車に乗せていた友人や知人がケガをした場合、その治療費や慰謝料は「対人賠償保険」の補償対象になります。対人賠償は「他人」への賠償をカバーする保険で、友人・知人は法律上「他人」にあたるからです。「同乗者のために」と搭乗者傷害保険を厚くする前に、まずこの事実を知っておきましょう。
ただし、2つ注意点があります。
- 家族は対象外 → 配偶者や父母、子どもは「他人」にあたらないため、対人賠償では補償されません。
- 自分に賠償責任がある事故のとき → 対人賠償が支払われるのは、運転者側に法律上の賠償責任がある場合です。相手が100%悪いもらい事故では、相手側の対人賠償から支払われます。
搭乗者傷害保険は「上乗せのお見舞金」。貯金で備えるなら外せます
搭乗者傷害保険は、車に乗っていた人のケガに対して、実際の損害額とは関係なく決まった額が支払われる「定額払い」の保険です。つまり性質としては上乗せのお見舞金です。友人のケガは対人賠償でカバーされることを踏まえると、この上乗せ部分は貯金で備えれば十分と考えて、私は不要と判断しています。保険会社の解説でも、保険料を抑えたい場合に見直し候補になる補償として紹介されています。
人身傷害保険・車両保険も「貯金で備える」が私の考えです
自分自身のケガを補償する人身傷害補償保険も、私は貯金で備えるため不要と考えています。日本には健康保険があり、医療費が高額になった場合には高額療養費制度で自己負担に上限が設けられているからです。家族のケガも同じ考え方です(前述のとおり家族は対人賠償の対象外なので、この割り切りとセットであることは理解しておきましょう)。
車両保険は、事故に遭った際に自分の自動車を修理するための費用をカバーするものであり、これも貯金で備えることができます。事故を起こして、自分の自動車の修理費用が捻出できない場合は、自動車に乗ることを諦める選択肢も考えましょう。車両保険が必要だという人は、収入より高価な自動車に乗っていることになります。
なお、ここは考え方が分かれるところです。貯金がまだ十分でない人や、補償を残しておきたい人は、自分の家計に合わせて判断してください。

よくある質問(FAQ)
Q. 自動車保険に「貯蓄型」はありますか?
基本的にありません。自動車保険(任意保険)は掛け捨てが原則です。満期返戻金が付いた積立型の商品もごく一部にありますが少数派で、その分保険料は割高になります。このブログでは「保険は掛け捨てで最小限、貯蓄は貯蓄で分けて行う」ことをおすすめしています。詳しくは「保険でお金が増える」は本当?の記事をご覧ください。
Q. 同乗していた友人がケガをしたら、どの保険から支払われますか?
自分に賠償責任がある事故なら、自分の「対人賠償保険」から支払われます。相手が100%悪い事故なら、相手の対人賠償保険からです。つまり友人の同乗者は、搭乗者傷害保険がなくても賠償の面ではカバーされます。
Q. 搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違いは何ですか?
搭乗者傷害保険は決まった額が支払われる「定額払い」、人身傷害保険は実際の損害額が支払われる「実損払い」です。搭乗者傷害は人身傷害の上乗せという位置づけなので、保険料を抑えたい場合は搭乗者傷害から見直すのが一般的です。
Q. 補償を削ると保険料はどのくらい変わりますか?
年齢条件や等級にもよりますが、対人・対物中心の基本補償のみの場合は年間約3万円程度、人身傷害補償保険、搭乗者傷害補償保険、車両保険をすべて加えると年間約4.5万〜6万円程度が目安です。差額は年間1.5万〜3万円ほどになります。
結論:必要なのは対人・対物。あとは貯金と知識で備えましょう
万が一の事故に備えて、対人賠償・対物賠償(無制限)には必ず加入しておくべきです。一方で、過度な補償は保険料を高くします。同乗の友人が対人賠償でカバーされることを知っていれば、必要以上の補償を付けずに済みます。保険料が安くなった分は後輩A君の満足度をアップするために使うか、将来のために貯蓄や投資に使いましょう。
なお、補償の細かい条件は保険会社や商品によって異なります。最終的には約款や保険会社の説明で確認してくださいね。

