後輩A君、お疲れ様。
新NISAも始めたし、ふるさと納税もクリアしたね。順調にマネーリテラシーが高まってきてるよね。
で、次は「iDeCo(イデコ)」を始めようとしてるって?
「掛金が全額所得控除になって、税金が安くなるから最強です!」って、目をキラキラさせて言ってたけど…。
後輩A君、悪いことは言わないよ。
今の後輩A君は、まだiDeCoには手を出さないほうがいいんだよね。
「えっ、なんでですか? 国が推奨してるお得な制度じゃないんですか?」って顔をしてるけど。
確かにiDeCoは「節税」の面では強力だよ。今の税金を減らす力はすごい。
でもね、後輩A君のような「独身・若手」にとって、iDeCoにはメリットを打ち消してしまうほどの「3つの巨大な罠」があるんだよね。
今日は、証券会社のサイトには小さくしか書かれていない、iDeCoの不都合な真実について話すね。これを読めば、なぜ私が「まずはNISA一択だ」と言うのか分かると思うよ。
罠1:最強の足かせ「60歳までの資金ロック」
まず一番のリスク。これが最大にして最悪のデメリットなんだよね。
iDeCoに入れたお金は、原則として60歳になるまで1円も引き出せないんだ。
「老後資金なんだから、引き出せなくていいじゃないですか」と思うかもしれないね。
でも想像してみて。
後輩A君はまだ独身だよね。これから30代、40代と進む中で、人生何があるか分からないじゃない?
結婚して家を買いたくなるかもしれないし、海外留学したくなるかもしれない。あるいは、会社を辞めて起業したくなるかもしれない。
そんな「人生の勝負どころ」でまとまったお金が必要になった時、
「あ、銀行口座にはお金ないや。iDeCoには数百万あるけど、あと20年引き出せないんだった…」
なんてことになったらどうする? 目も当てられないよね。
若い時の「現金の流動性(いつでも自由に使えること)」は、数万円の節税よりも遥かに価値があるんだよね。
その点、NISAなら明日売って現金化できる。この「自由」を手放してまで、今の税金を安くする必要があるかな? よく考えてみてほしいんだ。
罠2:「出口戦略」が複雑すぎるパズル
次に、多くの人が見落としているのが「受け取る時」の話なんだよね。
NISAは受け取る時(売却時)も税金ゼロだけど、iDeCoは受け取る時に税金がかかる可能性があるんだ。
「退職所得控除」という枠を使えば税金は安くなるんだけど、これがまた厄介なんだよね。
もし後輩A君が将来、会社から「退職金」をもらったとしよう。その退職金と、iDeCoの受け取り時期が重なると、この控除枠を食い合ってしまうんだ。
結果として、iDeCoで増やした利益に対して、ドカンと税金を取られる可能性があるんだよね。
これを避けるためには、
「退職金をもらう時期とiDeCoを受け取る時期を5年以上ずらす」とか、
「一時金ではなく年金形式で受け取る」とか、
複雑なシミュレーションが必要になるんだ。
後輩A君、正直に答えてほしいんだけど、
「30年後の会社の退職金の額」と「その時の日本の税制」を、今から完璧に予測して計算できる?
無理だよね? 私にも無理だよ。
未来の不確定なパズルのために、今の資金を拘束するのはリスクが高すぎると思わないかな。
罠3:逃げ場なし!「将来の制度変更」リスク
そして最後、3つ目の罠。これが個人的には一番怖いんだよね。
それは、「後出しジャンケンでルールが変わっても、絶対に逃げられない」ことなんだ。
iDeCoは一度始めたら、途中で解約して資金を引き上げることが(ほぼ)できないんだよね。
つまり、これから30年の間に、国がルールを「改悪」したら、それに従うしかないんだ。
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「財源が足りないから、受け取り開始年齢を65歳にします」
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「特別法人税(今は凍結されてる税金)を復活させます」
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「受け取り時の課税を強化します」
こんな変更が起きないと言い切れるかな?
もしルールが変わっても、後輩A君は資金を引き上げて逃げることができない。指をくわえて従うしかないんだよね。
NISAなら、制度が気に入らなくなればいつでも全額売却してやめられる。
「いつでも逃げられる権利」を持っていることは、不確実な未来に対する最強のリスクヘッジなんだよね。
結論:A君はまず「NISA」を埋め尽くそう
脅すようなことばかり言って悪かったね。
でも、これが現実なんだよ。
iDeCoが悪い制度だとは言わないよ。所得が多い人や、退職金がない自営業の人にとっては素晴らしい制度だと思う。
でも、これからのライフプランが未定な後輩A君が、今すぐ飛びつくべきものじゃないんだよね。
私の結論はこうだよ。
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まずは新NISA(つみたて枠+成長枠)の1,800万円を最短で埋めることに全力を注ぐ。
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いつでも引き出せる「自由な資産」を確保する。
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iDeCoを検討するのは、NISAを使い切り、さらに余剰資金が溢れて、老後の見通しが立ってから(40代・50代)で十分間に合うんだ。
後輩A君、焦って「自由」を売り渡さないでね。
まずはNISAという「最強の武器」を使いこなすことだけを考えよう。
浮いた掛金で、今は自分への投資(スキルアップ)や、思い出作りに使った方が、長い目で見ればよっぽどリターンが大きいかもしれないよ。

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